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マインドと社会

マインドと社会のインタラクションについて、科学技術や経済の変化を統合させながら考察します。

マイケルムーア:世界侵略のススメをみて

社会

 

アメリカと欧州諸国を比較したドキュメント映画です。ネタバレをふんだんに含むので、以下ご注意ください。

 

全体として、信頼の厚い社会のほうが高効率だということを改めておもいました。この効率を達成するためには、広い共感の感情と経済を社会に埋めなおすことが必要だと感じます。個別の事例からみていきます。

1、イタリア:休暇がとても多いことと昼休みが2時間あることを対比としてあげています。(アメリカは法定の有給は0らしいです。)長期休暇もあるあたり、日本よりもイタリアはより長いですね。マイケルムーアは、経営者に「もっと設けられるぞ」とけしかけるのですが、「そんなことより従業員と心を通わすことのほうが大事」といった返しでした。日本も、能力的関係、経済的関係、社会的関係をもう少しきちんと分けて考えたほうがいいでしょう。

2、フランス:給食が素晴らしいことを取り上げています。とりあえず、アメリカがひどい気がします。それよりも、ここの場面で出てくる、民間企業に任せたほうが高くなるという描写はもう少し数字だしてほしかったけど、そうだろうなと思います。保険や教育は無駄に過当競争になるだけでしょうし。財政的に裕福ではなくても、このような給食を配備できるのは、腕のいい料理人の額がそこまで、高いわけではないからではないでしょうか。

3、フィンランド:有名なフィンランド式教育についてでした。これは、同調圧力が強い割にはコミュニティーが崩壊しかかている(と思われる)日本では機能しないかもしれないですが、今の大量生産・大量消費での生産効率を上げるための教育はやめたほうがいいですね。また、詩や芸術は稼げないから意味ないというムーアのアメリカ人感覚をぶつけるところで、教師がすごく悲しそうな顔をしています。稼ぐことがすべてな社会は、詩や芸術は無意味でしょうが、感受性からみれば、別にそうでもないでしょう。

4、ノルウェー:犯罪者への手厚いケア、死刑の廃止が取り上げられています。人は、扱われ方によって、行動を変えるといういい例だと思います。責任はその人にもあるけど、社会にもあるというところでしょうか。大量殺人犯に息子を殺された親が、「復讐をしたいとは思わない」と言い、さらに「ノルウェーを守ろう」というのは、責任を個人に帰することで、社会を分裂させてしまうことを防ごうということでしょう。最近の日本は自己責任社会になってしまったので、真逆の方向ですね。生活保護受給への反対が非常に多いこともその表れでしょう。


5、スロベニア:大学の教育費がタダというのが取り上げられていました。教育費が安いことは、社会を緩やかに変えるために必須だとおもいました。(借金すると、格差+上の世代のコントロールが効きやすくなるため)いうまでもなく、高等教育を多くの人が受けられることは、分業の意味でも、リテラシーの意味でも重要です。リテラシーが高ければ、高度な分業が可能なのです。日本では、大学では勉強しないというイメージがありますが、これは、大学で教えていること自体がニーズに合っていないとか、大学に入る前に、個人の興味が引き伸ばされていないとかいうことに起因しているでしょう。


6、ドイツ:中産階級が安定して存在していることと、アウシュビッツの反省としての国民意識と罪の意識が取り上げられていました。経済面でいうと、製造業を捨てたアメリカから中産階級がなくなったのは、当然でしょうし、会社が株主のものになると、なおさらです。また、同じ敗戦国としては、日本もどいういう戦後の区切りをするのかを見つめたほうがいいとは思いました。

 

6、ポルトガル:麻薬犯罪の低下、死刑の廃止あたりが述べられています。おおむねノルウェーの話と同じだと思います。死刑については、日本人としては、武士道の伝統があるので、必ずしも尊厳を傷つけているとは思いませんが、武士道自体も見直しが必要でしょう。

 

7、チュニジアイスラム社会にもかかわらず、女性に手厚い社会を取り上げています。やはり、社会の発展度は、個人に許容される自由の程度によるということを改めてかんじました。

 

8、アイスランド:女性の活躍が取り上げられています。アイスランドが破たんしたとき、黒字を保っていた銀行は女性がCEOの銀行だけだったそうで、そこでは、わからないものは買わないというポリシーだったそうです。最後の女性が述べるアメリカ人へのメッセージである「アメリカ人は家族以外大事にしない。同胞を大事にしていない」が心にしみました。

 

これからの社会、より自動化して、生産活動にかかわる必要性が低下することを考えると、以下が大事だと思います。このほうが、より生産的かつ幸せな社会が営めるのではないでしょうか。

・多様性を重要視する。

・共感する。

・コミュニティーを形成する。

・教育、医療、保険のユニバーサルアクセス

もちろんこの前提には、インセンティブを考慮した制度設計があります。

日本がこの道をたどるには、

・戦前からの私たちの価値観を再度見直し、社会を結びなおす。

人工知能やロボットによる自動化をより推進する。

教育、医療、保険のユニバーサルアクセスを達成する。

・人間的特性を踏まえた、制度設計、組織設計、倫理観の醸成を行う。

といったところになるのではないでしょうか。

余談

僕は、以下に分散投資してますが、絞るなりなんなりしたい。

・日本的価値観の再構成

・情報技術の利用(人工知能

・限定合理性から来る、組織形態の制約