マインドと社会

マインドと社会のインタラクションについて、科学技術や経済の変化を統合させながら考察します。

知の構造化と費用対効果

ひと昔前に、知識の構造化が流行っていた。(と思っている)

自分の大学の学長も熱心に、俯瞰プロジェクトや知識構造化のプロジェクトを行っていた。

自分もその考え方に賛同していたし、大学院での研究はその方向でやっていた。

しかし、知の構造化は、あまり成功したようには見えない。(どこかで誰かが有効活用しているのだろうか)

知の構造化プロジェクトの結果をいろいろ見てみても、現在も稼働しているものは、

あのひと検索スパイシー

ぐらいな気がした。(Mima searchも正直使い方がわからなかった)

社会に出てみて、国家研究開発プロジェクトと言語処理の実導入を行ってきた。

 その観点から見て、実用化に至っている知識の構造化について、要因などを考えていきたい。

 

構造化への要求

知識の構造化のメリットとして、ビジネスユースなどであると以下などが挙げられている

構造化知識研究所|SSM/構造化知識マネジメント導入メリット

 

そもそも、知識を構造化させたい要因として何があるのだろうか。例えば、以下のようになると考えられる。

1. 現在の状態を俯瞰的に眺め、正確に現状を把握する

2. 現状の構造化では気づくことができない気付きを得る

3. 暗黙に構造化されている知識を、可視化することで素早く伝達させる

4. 構造に照らし合わせて、異常を素早く検知する

 

さて、これらは要するに、

1. 新しい構造を作り直したい

2. 今までの構造で、早く伝達させたい

さらに、ビジネスユースの場合は2つの目的しかない。

1. 売り上げをあげたい

2. 損失・コストを削減したい

 よって、合わせて4象限になる。

 

ただし、損失・コスト削減は今の構造を分解することはあまりない。(見直しPJの場合は別だが、基本的に通常時を対象とするためである)

よって、まとめると以下のようになると考えられる

1. 売り上げをあげたい

1-1. 新しい構造を作りなおしたい

1-1-1. 現状の構造化では気づくことができない気付きを得る

1-2. 今までの構造で、早く伝達させたい

1-2-1. 暗黙に構造化されている知識を、可視化することで素早く伝達させ、個々人のパフォーマンスを早く引き上げる

2. 損失・コストを削減したい

2-1. 新しい構造を作りなおしたい

2-1-1. 現在の状態を俯瞰的に眺め、正確に現状を把握する

2-2. 今までの構造で、早く伝達させたい

2-2-1. 暗黙に構造化されている知識を、可視化することで素早く伝達させ、安価な人材でも。満足できる水準にする

2-2-2. 構造に照らし合わせて、異常を素早く検知する

 

構造化の方法

そもそも構造化とは、どのように行うのだろうか。

まずは、以下が考えられるのではないだろうか。(全て行列で表現されるが)

1, テーブル化

ある事象がどの程度起こっているのかということは、テーブルによって表現される

また、登録されているobjectの一覧にたいもテーブルによって表現される。

走査自体は、計算量削減の観点から、単純なテーブルではないが、人から見れば、テーブルとして認識される。

また、時間によって整理されている場合は、頻度を表すことが可能である。

 

2, ネットワーク

object自体が繋がっているかどうかを表す。近さと遠さや、つながりの量自体が、意味合いを持つ。その意味はobjectの性質によって変わる。

 

3, 階層構造(包含構造)

objectの集合関係や上下関係を表す。上下は命令の権限の強さ、制約条件として成立する。

 

これらは何のために構造化されるのであろうか。考えられる仮説をいかに列挙した。

1、認識負荷の軽減

構造化していない場合は、人は個別のobjectとして認識しなければならないが、それでは、処理しきれない。そのため、同じような影響を持つobjectについては、その性質によって、抽象化することで、認識負荷を軽減することが可能となる。また、負荷軽減を行うことで、情報処理的な余裕ができるので、他の行動をとることが可能となる。これは、階層構造を発生させる要因となっている。

2、影響の大きさの把握

主にテーブルデータについて言えることだが、数量と頻度を把握することで、objectの影響度がわかる。統計も基本的にはそのために存在しており、平均とバラツキを捉えることが可能となる。

3, 因果関係の把握

まず、テーブルはobject間の相関関係を把握することを可能とする。

ネットワークは有向であれば、因果関係を把握することを可能とする。

因果関係は、objectを発生させる流れを捉えることを可能とするとともに、変更させたい場合に、影響を行使する対象となる。

 

アクションへの反映

以上から、知識の構造化に期待されること、及び構造化によって把握できる関係性を列挙した。ビジネス上これをアクションに生かしたいと思うだろう。ただし、知識の構造化が新しい価値に際して大きくないのは、このアクションについてであると考えられる。

ノウハウの存在

さて、ここまでで、構造化のビジネス的要求と構造化の方法について見直してきた。しかし、知の構造化は重要なことを書いている。それは、ノウハウは体験以外の方法で伝達する困難であるということである。

 

知の構造化は俯瞰して何がどうなっているのか、現状どうなっているのかを把握することは可能となる。しかし、その状況に対して、どのようなアクションを取ればいいのかということは何も教えてくれない。そして、そのアクションを取る方法論も教えてはくれない。

 

知識を構造化した結果、根本原因が判明したり、マッチングがうまくいったりということはあるだろう。ただし、その後のアクションについては、教えてくれない。それが、既存のもので対処できるものなのか、そうでないのかは、やってみないとわからない。

 

費用対効果というのは、アクションとセットで考えられる。そういった意味では、「会議」に勝るものがないというのが、実情となる。

 

構造の読み取り

知の構造化に対して、もう一点欠いているのは、構造を読み取る手間である。

機械による組み替え

諸々の機械学習や多変量解析による、構造の組み替えの提案(次元削減の方法)によって、そこから何を読み取れるのか不確定であるということである。

また、これらの手法を使いこなすこと自体もスキルが必要であり、安価に調達できない。ソフトウェアで、実施はできたとしても、その操作自体の意味を理解できない。

これらから、構造組み替えは、スポット的なコンサルとして市場では調達されているのだろう。

 

構造の組み替え自体を真面目にやるのであれば、階層構造の変更が必要となる。しかし、それにはあまりに費用がかかる。

構造の組み替えを難しくする要因は、基礎的な概念(常識など)を記述する難しさ、多義性に対する文脈への対応などである。これは、自然言語処理などで可能にはなってきているが、可視化することは困難である。また、文脈依存性については、ドメイン依存性もあるため、余計に難しい。

インタラクション

インタラクションは二つの意味で重要となる。

それは、俯瞰した状態から、個別の納得感のある状況へ説明を行う際に、順を追って説明されることとなる。これは、最初にこの説明を構成する時は、インラタクティブに組み替えて分析を行うこととなる。

教育的目的に使用するのであれば、インタラクションはなおさら必要である。体系だった教育を行ってから、現場に出てノウハウを会得するのでは、遅いのが昨今の現場である。適切なサジェストから、ノウハウと一体として場面場面で教えて欲しいというのが要望なのである。

もう一つは、構造化された知識から答えを得る場合も、問い合わせが曖昧であれば、幾つもの可能性が出てくるため、問い直しが必要になる。この時、どのような問い直しをするかというインタラクション固有の問題が出てくる。これは構造化とは異なる側面である。

 

ビジネス効果

さて、上記によって、知の構造化への要求と効果や欠点を上げてきた。

いかに整理しておく。

メリット

1. 共通の参照対処が見え、全社的に共通の認識土台になりうる。

2. 現状の正確な把握につながる構造を得られる可能性がある。

3. 組み替えた時に、気づきを得られる可能性がある。

4. 構造から外れた、異常見つかる可能性がある。(モニタリング体制次第)

デメリット

1. アクションに繋がりにくいため、費用対効果を産みにくい。

2. 読み解くことが難しく、インタラクションを設計する必要がある。

その他の効果

1. 労働者の費用を抑えられる。(これは所得にとってデメリット。人工知能によって騒がれている、資本収益が大半になるという効果である)

 

今見えるのは、ここまで。