マインドと社会

マインドと社会のインタラクションについて、科学技術や経済の変化を統合させながら考察します。

サービスプロバイダとソフトウェアベンダー

IT業界に移って2年ほど過ぎましたが、ビジネス書に出てくる諸々の事象がほとんどIT業界の変化によって捉えられるような気がしているので、それを少し整理したいとおもいます。

 

ITを利用したサービスプロバイダは、従来自らのサービスを提供するにあたり、ITを利用する際、

1. 自らサーバーを買い

2. その上にソフトウェアを購入して

3. ソフトウェアを利用して、最終サービスを提供する

 

さて、近年のビジネス環境を変化させているのは、インターネット、スマホ・アプリ、クラウド(群衆)です。(総論については、以下を参照ください)

 

プラットフォームの経済学 機械は人と企業の未来をどう変える?

プラットフォームの経済学 機械は人と企業の未来をどう変える?

 

 

サービスプロバイダにとっては、以下の3つ変化になっていると思われます。

1. スマホ・インターネットによる窓口の変化

2. クラウドコンピューティングによる、サーバーレス化

3. OSSの利用

さらに、

4. サービスのクラウド(群衆)化があります。

 

例えば、クックパッドを考えてみます。

従来は、レシピを出版社から提供されるか良くてもインターネットのページに載っているといった具合でしょう。これが、

1. アプリやインターネットによるレシピ提供

2. パーソナライズ化

3. ユーザからのレシピ提供

という形に変化しました。

この形態が、コストとレシピの豊富さを大幅に変化させたのは、以下の要因もあるかと思われます。

1. エンジニアを多く雇う

1-1. OSSを利用可能にする

1-2. サーバーを効率よく運用する(+クラウド化)

2. 適切なプラットフォーム運用による、ユーザからのレシピ提供

 

さて、ソフトウェアベンダー側として見ると1の変化がとても大きなものとなります。

まず元々抱えていた問題として

1. マスのあるニーズに答えるために、機能をがつくれない

といった問題がありました。サービスプロバイダがITを一体で抱えることで、自らのサービスに合った機能を出すことができる上に、その機能をやめることもできます。

 

さらに、

1. 既存のサービスプロバイダが減り、市場が狭くなる

2. OSSが高機能化している(google, IBM等の支援もあり)

3. 標準機能はクラウド側から標準で提供されてしまう

 

という状態にあります。

先程の書籍に記載がありますが、今後プラットフォーム以外で残るビジネスは、

1. 供給サイドの差別化が有効な市場(宿泊業など)

2. 利用客が特定のブランドやチェーンにロックインされている

3. プレイヤーが少なく供給する製品やサービスが複雑な市場(発電、国防、コンサル)

と紹介されています。

 

3は元々IBMが取っていた戦略でした。そして、IBMはプラットフォーム化に完全に出遅れています。ソフトウェアベンダはどのように生き残れるのでしょうか。。。

ポスト資本主義を感じる3つの本

「経済は行き詰まっており、もはや資本主義は限界だ」などという論者も出る昨今、一方でビットコイン人工知能などが盛り上がっており、社会が新しい段階にシフトしているのでは?という予兆も出てきて、もはや社会の見通しはヒッチャカメッチャカなわけですが、そんななけ、これから起こるであろう変化を洞察する基盤として、おすすめしたい本を上げていこうと思います。

1. お金2.0 ~新しい経済のルールと生き方~

お金2.0 新しい経済のルールと生き方 (NewsPicks Book)

お金2.0 新しい経済のルールと生き方 (NewsPicks Book)

お金という観点を中心にして、その他の変化も含めて概論を眺めるにはすごくいい本だと思います。ざっくり全体像をつかむための本質を、最低限の量で書かれています。 1冊目としてお勧めします。

本書に書かれている通り、社会が分散化することが、今後の変化のポイントです。

2. 限界費用ゼロ社会 ~モノのインターネットと共有型経済の台頭~

限界費用ゼロ社会 〈モノのインターネット〉と共有型経済の台頭

限界費用ゼロ社会 〈モノのインターネット〉と共有型経済の台頭

分散化について、生産面から焦点を当てた本です。ロボットの高度自動化や3Dプリンタなどで、生産の集約性がなくなってくることがわかると思います。

3. ティール組織 ~マネジメントの常識を覆す次世代型組織の出現~

ティール組織――マネジメントの常識を覆す次世代型組織の出現

ティール組織――マネジメントの常識を覆す次世代型組織の出現

1の本では、伝達手段と信用・決済の分散化について述べられていました。2の本では、生産の分散化について述べられていました。3は、それによる組織の変化が見て取れます。1の最後にキャリアについて書かれていますが、会社側から見ると、本書のような視点が必要になるでしょう。 この本が、レイヤーとそこに住む人のマインド及び人間関係を良く表現しています。 (訳を読んでいないので、原作を読んだ感想です)

なぜこの変化が起こっているのか。

1の本に書かれている通り、分散化です。近代初期においては、利用できる資源が乏しかったため、生産性をあげるために、資産を蓄え集約化する必要がありました。これは、情報の伝達や信用についても同様です。 情報の伝達はインターネットが変え、信用・決済はビットコインが変えつつあり、生産はロボット・3Dプリンタが変えつつあります。

まだわからないこと

分散化の概念からもっとも遠い、国家・安全保障・再配分等の概念がどうなっていくかがよくわからないです。何かいい書籍があれば、ご紹介します。

2017年振り返りと2018年に向けて

あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。

さて、2017年も色々ありました。総括としてここに記しておくと共に、その体験をもう少し抽象化しておくと共に、今後の目標を整理していきたいと思います。

2017年にあったこと

  1. 自社製品の使い方を一通り覚えました

  2. ITビジネスの環境がわかりました

  3. 言語処理・知識処理への洞察が深まりました

  4. 機械学習を使った言語処理の実案件を数件やり、幾つか導入まで到達しました

  5. フィンテックベンチャーへの転職を悩みましたが、今の会社にいることにしました

  6. プリセールスエンジニアから研究開発へ異動になりました

1-3について

現在、検索エンジン及び機械学習エンジンをソリューション化してパッケージ販売している会社に所属しているのですが、自社製品の使い方を一通り覚えました。その理論背景も一通り覚えました。そのお陰で、現在の言語処理・知識処理がどの程度までできそうかということについて、考察が深まりました。 また、いろいろな記事で派手に動いているIT業界の実情も見えてきて、いわゆるイノベーションがどのようにして起こっているのか想像がつくようになりました。

ITシステムがいまいち不自由になっている理由もわかりました。 お客さんに言われて困ることは、何ができるのですかですが、もしお客さんが技術レベルまで含めて覚えたのであれば、何でもできますが答えになります。ただ、そのような方は殆ど存在しないので、自分たちとしてどういう制約を製品に持たせるか、またどういうことがお客さんの制約(リテラシーレベルなど)としてあるのかは重要だと思いました。

数式レベルにおいては、各種式が実際としてどのような意味合いを持っていて、それによるトレードオフみたいなものがどのように発生するかが見えてきました。

また、言語処理・知識処理というのは、意外と文字列マッチングであり、その高速化が重要であることを認識しました。

人間がよくやる中間分類(推論や集合演算をする場合に最終結果への情報へのアクセスをよくするための分類)をどのように活用していくのかということが、自分としては課題としていきたいなと思いました。

4について

これが、今年最大の決断だったと思います。

この業界のビジネスの状況として、scikit-learnやgensimでできてしまうことから、差別化が難しいと感じています。

層別化すると以下のような状況でしょうか。

項目\種別 機械学習ベンチャー クラウド メーカー系
分析 scikit-learnやgensim 自社製品 自社製品
構築 クラッチ 自社クラウド 適宜対応

ということで、製品ビジネスをすると、分析では機械学習ベンチャー系よりも幅が狭く、構築ではクラウドより高くなりがちという問題があります。 こんな中、ビジネス的な行き詰まりをやや感じていました。 同じポジションでやるなら、もう少し分析に寄りたいた思っていたところ、そう言ったポジションでお声がけいただいた企業があったので、大変迷いました。 分析であれば、専門分野を持った上で、分析ツールを使いこなす方が価値があると感じていたからです。

しかし、結果としては、研究開発への異動が認められたため、今の会社にいることにしました。

5について

研究開発での修行を優先したのは、以下の要因がありました。 1. 頭で考えられていることを実現するために、必要であるのは調査能力よりも実装力であると感じたからです。 2. 一つの分野で何かを達成することより、全体的な生産性を上げて、限界費用ゼロ社会に向かっていく後押しをすることが、目標だから。

年齢が5歳上であったら、分析にシフトしていたと思います。 しかし、今後より機械的にデータを流して、システム全体が知能化していくであろうことを見越した時に、 問題解決力として、自分で実装できることは大きな価値になると見込んだため、研究開発での修行を優先させました。 単発の分析では、自分の価値は大きくならないだろうと考えたためです。この場合、知識が増えても統合した分析結果として出すために、 結局はパワポ職人になるのではなかろうかと思いました。

いざとなれば、sklearn-やgen-simを拡張できるぐらいやれればいいなと思います。

この世界で一つ驚いていることは、研究開発の成果を論文レベルで毎日のようにアーカイブで 見ることができることです。知の循環を加速させる文化の一つであると思いました。

体験の抽象化

さて、これらの情報をもう少しまとめておきたいと思います。

経済系の話は、過去記事で書いているので、ここには記載しません。 一つだけ付け加えるとすると、情報技術において、ユーザーには機能のみが 伝えられるということです。これは、実は情報技術だけではなく、他の技術、はたまた理論も含めて そうであると思います。

故に、技術はレイヤーごとに機能単位でまとめられていくのだと思います。 中間レイヤーでは、十分な金銭が流れなかったことが、今までですが、オープンソースは この点を劇的に変えたと思います。(その奥はインターネットですが。)

これからのお題は、 1. 研究開発における知の循環のさらなる観察 2. 人間の3つの限界ゆえに、ビジネスレベルでネックになること(要は経済)の考察の深化 3. 社会=再生産プロセスにおける影響の観察 を行っていきたいと思います。

2018の目標

ということで、2018年の目標は以下かなと考えています。

<スキル面> - C++レベルの言語で自然言語処理できるようになる - JSによる可視化を一通り抑える - pythonC++レベルの切り分けをできるようにする - 数式の実装をできるようにする - 機械学習のレベルを上げる - 確率論のレベルを上げる - DeepLearningもそこそこ頑張る - OSとネットワークはもう少し強化する

<見通し力> - プログラミングとの統合 - 金融をもう少し強くする - FPか中小企業診断士ぐらい取ろうとしてもいいかも - 経済学のレベルをもう少し上げたい

あと、全般的にもう少し知識処理・知識及び経済の関係について深めていきたいと思います。

知の構造化と費用対効果

ひと昔前に、知識の構造化が流行っていた。(と思っている)

自分の大学の学長も熱心に、俯瞰プロジェクトや知識構造化のプロジェクトを行っていた。

自分もその考え方に賛同していたし、大学院での研究はその方向でやっていた。

しかし、知の構造化は、あまり成功したようには見えない。(どこかで誰かが有効活用しているのだろうか)

知の構造化プロジェクトの結果をいろいろ見てみても、現在も稼働しているものは、

あのひと検索スパイシー

ぐらいな気がした。(Mima searchも正直使い方がわからなかった)

社会に出てみて、国家研究開発プロジェクトと言語処理の実導入を行ってきた。

 その観点から見て、実用化に至っている知識の構造化について、要因などを考えていきたい。

 

構造化への要求

知識の構造化のメリットとして、ビジネスユースなどであると以下などが挙げられている

構造化知識研究所|SSM/構造化知識マネジメント導入メリット

 

そもそも、知識を構造化させたい要因として何があるのだろうか。例えば、以下のようになると考えられる。

1. 現在の状態を俯瞰的に眺め、正確に現状を把握する

2. 現状の構造化では気づくことができない気付きを得る

3. 暗黙に構造化されている知識を、可視化することで素早く伝達させる

4. 構造に照らし合わせて、異常を素早く検知する

 

さて、これらは要するに、

1. 新しい構造を作り直したい

2. 今までの構造で、早く伝達させたい

さらに、ビジネスユースの場合は2つの目的しかない。

1. 売り上げをあげたい

2. 損失・コストを削減したい

 よって、合わせて4象限になる。

 

ただし、損失・コスト削減は今の構造を分解することはあまりない。(見直しPJの場合は別だが、基本的に通常時を対象とするためである)

よって、まとめると以下のようになると考えられる

1. 売り上げをあげたい

1-1. 新しい構造を作りなおしたい

1-1-1. 現状の構造化では気づくことができない気付きを得る

1-2. 今までの構造で、早く伝達させたい

1-2-1. 暗黙に構造化されている知識を、可視化することで素早く伝達させ、個々人のパフォーマンスを早く引き上げる

2. 損失・コストを削減したい

2-1. 新しい構造を作りなおしたい

2-1-1. 現在の状態を俯瞰的に眺め、正確に現状を把握する

2-2. 今までの構造で、早く伝達させたい

2-2-1. 暗黙に構造化されている知識を、可視化することで素早く伝達させ、安価な人材でも。満足できる水準にする

2-2-2. 構造に照らし合わせて、異常を素早く検知する

 

構造化の方法

そもそも構造化とは、どのように行うのだろうか。

まずは、以下が考えられるのではないだろうか。(全て行列で表現されるが)

1, テーブル化

ある事象がどの程度起こっているのかということは、テーブルによって表現される

また、登録されているobjectの一覧にたいもテーブルによって表現される。

走査自体は、計算量削減の観点から、単純なテーブルではないが、人から見れば、テーブルとして認識される。

また、時間によって整理されている場合は、頻度を表すことが可能である。

 

2, ネットワーク

object自体が繋がっているかどうかを表す。近さと遠さや、つながりの量自体が、意味合いを持つ。その意味はobjectの性質によって変わる。

 

3, 階層構造(包含構造)

objectの集合関係や上下関係を表す。上下は命令の権限の強さ、制約条件として成立する。

 

これらは何のために構造化されるのであろうか。考えられる仮説をいかに列挙した。

1、認識負荷の軽減

構造化していない場合は、人は個別のobjectとして認識しなければならないが、それでは、処理しきれない。そのため、同じような影響を持つobjectについては、その性質によって、抽象化することで、認識負荷を軽減することが可能となる。また、負荷軽減を行うことで、情報処理的な余裕ができるので、他の行動をとることが可能となる。これは、階層構造を発生させる要因となっている。

2、影響の大きさの把握

主にテーブルデータについて言えることだが、数量と頻度を把握することで、objectの影響度がわかる。統計も基本的にはそのために存在しており、平均とバラツキを捉えることが可能となる。

3, 因果関係の把握

まず、テーブルはobject間の相関関係を把握することを可能とする。

ネットワークは有向であれば、因果関係を把握することを可能とする。

因果関係は、objectを発生させる流れを捉えることを可能とするとともに、変更させたい場合に、影響を行使する対象となる。

 

アクションへの反映

以上から、知識の構造化に期待されること、及び構造化によって把握できる関係性を列挙した。ビジネス上これをアクションに生かしたいと思うだろう。ただし、知識の構造化が新しい価値に際して大きくないのは、このアクションについてであると考えられる。

ノウハウの存在

さて、ここまでで、構造化のビジネス的要求と構造化の方法について見直してきた。しかし、知の構造化は重要なことを書いている。それは、ノウハウは体験以外の方法で伝達する困難であるということである。

 

知の構造化は俯瞰して何がどうなっているのか、現状どうなっているのかを把握することは可能となる。しかし、その状況に対して、どのようなアクションを取ればいいのかということは何も教えてくれない。そして、そのアクションを取る方法論も教えてはくれない。

 

知識を構造化した結果、根本原因が判明したり、マッチングがうまくいったりということはあるだろう。ただし、その後のアクションについては、教えてくれない。それが、既存のもので対処できるものなのか、そうでないのかは、やってみないとわからない。

 

費用対効果というのは、アクションとセットで考えられる。そういった意味では、「会議」に勝るものがないというのが、実情となる。

 

構造の読み取り

知の構造化に対して、もう一点欠いているのは、構造を読み取る手間である。

機械による組み替え

諸々の機械学習や多変量解析による、構造の組み替えの提案(次元削減の方法)によって、そこから何を読み取れるのか不確定であるということである。

また、これらの手法を使いこなすこと自体もスキルが必要であり、安価に調達できない。ソフトウェアで、実施はできたとしても、その操作自体の意味を理解できない。

これらから、構造組み替えは、スポット的なコンサルとして市場では調達されているのだろう。

 

構造の組み替え自体を真面目にやるのであれば、階層構造の変更が必要となる。しかし、それにはあまりに費用がかかる。

構造の組み替えを難しくする要因は、基礎的な概念(常識など)を記述する難しさ、多義性に対する文脈への対応などである。これは、自然言語処理などで可能にはなってきているが、可視化することは困難である。また、文脈依存性については、ドメイン依存性もあるため、余計に難しい。

インタラクション

インタラクションは二つの意味で重要となる。

それは、俯瞰した状態から、個別の納得感のある状況へ説明を行う際に、順を追って説明されることとなる。これは、最初にこの説明を構成する時は、インラタクティブに組み替えて分析を行うこととなる。

教育的目的に使用するのであれば、インタラクションはなおさら必要である。体系だった教育を行ってから、現場に出てノウハウを会得するのでは、遅いのが昨今の現場である。適切なサジェストから、ノウハウと一体として場面場面で教えて欲しいというのが要望なのである。

もう一つは、構造化された知識から答えを得る場合も、問い合わせが曖昧であれば、幾つもの可能性が出てくるため、問い直しが必要になる。この時、どのような問い直しをするかというインタラクション固有の問題が出てくる。これは構造化とは異なる側面である。

 

ビジネス効果

さて、上記によって、知の構造化への要求と効果や欠点を上げてきた。

いかに整理しておく。

メリット

1. 共通の参照対処が見え、全社的に共通の認識土台になりうる。

2. 現状の正確な把握につながる構造を得られる可能性がある。

3. 組み替えた時に、気づきを得られる可能性がある。

4. 構造から外れた、異常見つかる可能性がある。(モニタリング体制次第)

デメリット

1. アクションに繋がりにくいため、費用対効果を産みにくい。

2. 読み解くことが難しく、インタラクションを設計する必要がある。

その他の効果

1. 労働者の費用を抑えられる。(これは所得にとってデメリット。人工知能によって騒がれている、資本収益が大半になるという効果である)

 

今見えるのは、ここまで。

最近の考えたかの変化(メモ)

最近、改めて興味が組織論から経済学に移った。明らかに、今の職場に移ったことが原因だが、それを整理しておきたい。

 

<組織論に対する見方の変化>

1、組織が小規模でも(だからこそ)、意識合わせ問題(戦略の必要性)は生じる。

2、カレンダーとタスクの順番、目標の逐次見直し、合意形成(会議)がプロジェクト。ITはツール。開発スタイルもツール。

2.1、その場合大事なのは、UX

3、本質的には、会議が重要

4、組織規模が小さいと調整が効きやすいので、納得感が違う

5、会議の準備と持ち出し方が重要になる(よって、情報の編集能力としての人間は以前必要)

<経済に対する見方の変化>

1、民間企業に移って、市場の機能が良くわかった。

2、生産性を上げるには、市場の機能は重要。

3、同情は逆に硬直化される。厳しい態度でもいい。(市場関係においては)

4、弱者救済などは、別建で考えたほうがいい。

5、需要側の政策も効くし、それで未来も変わる。(これは学生から社会人になってから)

<混合する部分>

1、情報はネットワーク

2、配分は所有権

3、戦略は設計

<意思決定の見方の変化>

1、アクションとしては、やるかやらないかしかない。

2、何をどういう位置付けでやっているのかが把握できれば良い

3、意思決定で欲しい情報も、アクションに対する影響と見込みの確度とトレードオフ

4、これが客観的かつ定常的に決まるのであれば、自動化は可能

<上記を踏まえたポジショニングとして>

1、データ分析者を目指すなら、経済の方が専門性もあるし、重要性も高そう。(マーケター向きでもあるし)

2、ファシリテーターやマネージャーを目指す気があまりない。

3、みんながどう考えると、全体構造がどうなるのか気になってる。

 

 

 

 

 

組織論とミクロ経済から見る、評価・信頼・分業・賃金・動員の影響

前記事で生産力の向上について述べました。(生産性ではないことに注意してください。貨幣的評価が入るので、単純に効率的に作る能力としての生産力としました。)

しかし、主に1組織または1系列における、人の動きを考慮しない生産力という観点でした。情報処理の面で、人の制約は考慮しましたが、欲求やインセンティブ、価値の感じやすさや交渉過程など、ある種の「人らしさ」の面がありませんでした。そのため、人の動きを含めた考察が抜けていました。本記事では、人の動きを考慮するうえで、組織およびミクロ経済に着目して述べていきたいとおもいます。以下の前職で提出したレポートが基本発想となっているので、合わせて参照していただけるとさいわいです。 

 

 

 先の記事で上げたのは以下の関係性でした。

P = f(n,t) constrain Stability, Safety

P: 生産する対象、n;人数、t:時間

and Production power is indicated by n and t. The smaller n,t are  the better production power is. また、これは金銭的なやりとりが入った段階で、単純に生産性において、分母が小さいことと同じです。

生産する対象の効率性という面では、経営学では、規模の経済と範囲の経済が知られています。

規模の経済とは、生産量の増大に伴い、製品の単価を下げて生産を行えるようになることを言います。範囲の経済とは、事業の多角化によって、製品の単価を下げて生産を行えるようになることをいいます。前者は、規格化を行うことで、機械による自動化が可能になることで発生します。後者も同様ですが、多種類の製品の共通部分を取り出すことで、可能となります。なお、範囲の経済においては、知識の共有化もその現象成立の要因と言われています。

 規模の経済や範囲の経済はともに組織を大きくする、外因となります。しかしながら、組織が大きいことは、生産力を下げる内因をはらんでいます。

  これには3つほど内因があると思われます。

1、人間の情報処理限界から、階層性が生まれるが、上部でルールが制定され、下部の柔軟性を喪失するため

1−1、下部の柔軟性が喪失されることによって、人が指示を受けてから動くようになるため

1−2、構造を変更する時に、上部を変える必要が出てくるが、これを上部に伝達し、実行することが困難になるため

2、人が、他人と同じように扱われないことを妬むため、ルールを可能な限りの一律に処理する必要があるため

3、規模が大きいと、動員や影響を受ける人数が増え、そのため一つの行動のリスクが高まるため

(1−1、1−2は1に付随して起きること)

 

これに、金銭的なやりとりを入れていきます。

高度に分業化された今日の社会では、生産したものを自分たちで消費することはあまりありません。むしろ、ほかの誰かと交換するのが常です。(専門分業の効率化によって、このような体制になります)そのため、生産した対象が交換の対象となるかが重要です。(特に貨幣を媒体して交換されるものになるかどうか)

 この交換自体は貨幣の量という基準で行われます。そのため、「生産したものはいくらで売れそうか」ということを考慮にいれて生産を行います。この段階で、「価値」という側面が入ります。貨幣による交換が確立すると、 n*t = w(賃金)として算出可能になります。(往々にして、希少な人材ほど単価が高くなります)

 ここまで、将来予測(期待値)を考察に加えます。これは、組織にかぎらず、個人についても同様です。

 将来の予測値が確度高くわかれば、それを基に最適な規模の生産を行うことが可能です。しかし、予測値はよくわかりません。しかし、成果がでれば評価され、予算が多ければ成果がでる可能性がたかくなります。そのため、一度組織で分業したあとは、予算を配分するにあたり、如何に自分の事業が伸びそうかということのアピール合戦になります。このアピール合戦が組織の中の政治です。しかし、一方で勝ち取ったものには責任がつきまといます。それは、責任という概念がそもそも不確実な将来に対して、損失補てんを行うということに該当するからです。(その最大の罰は死ぬことであると人々が思っているので、最高峰が死刑になります)

  評価という軸が出てきたので、評価について記載します。評価とは、AさんがBさんのことを、どのように感じているかが根本です。生産活動における評価は、主に仕事ということになりやすいです。評価は、一般化しない方が多様性を担保できます。組織は、この一般化されない(=市場でそれ単体では金銭価値を生まない)活動を評価することが可能となります。研究開発の実用化を例にして考えます。

 研究者はどのような問題で、どのように解決できるかを最もよく知っています。しかし、製品として安定して供給できるとは限りません。そこで、エンジニアが製品として安定させるプロセスの開発を行い、安定したある製品にします。しかしそれでは、使い方(ビジネスプロセスの中でどこに組み込むか)が分かりませんし、それでは存在が認知されません。そこで、営業が売り込んで、どこであれば使えるかということをお客様とお話します。

 これは、エンジニアと営業は現在の供給という面で評価されやすいですが、研究者はそうではありません。しかし、将来的には研究者も必要となります。研究者を養っていくためには、市場とは別の研究者を評価する組織が必要ということになります。

 評価もまた、私たちの3つの限界によって、束縛されます。評価においては、特に視野の限界に束縛されます。少数の人が評価するほど、評価の軸は減っていきます。また、少数の人が評価するとはつまり多数の人が少数の人に評価されることを指します。これは、多数の人は評価する側に回れず、また評価される側もその指標が視野となるため、若干の差異はありながらも、同じような評価指標を持ちがちになります。

 最後に組織政治ということで、人脈=ネットワークについて考えます。人ほど、人にとってのデータベースになるものはありません。言語的な伝達のうまさ、認識している事実など、人が一番のデータベースになります。そのため、人脈はデータべース的側面を持っています。特に、抽象的な支持やコミュニケーション、社会的な事象については、いまだ人間以上の存在はいません。このネットワークは情報の伝達経路と強度を決めます。インターネットの発達で、言語的かつ一般的な情報は多くはいるようになりましたが、ローカルで体系的な情報はやはり人に依存しているのが現状です。一組織であれば、その傾向はより顕著になるでしょう。

 以上を仮説形式としてまとめます。

1、規模の経済と範囲の経済により大規模組織になる要因が外的にある

2、組織は市場では評価し得ない人材を評価し抱えることができる=複雑なバリューチェーンは組織化することで、多くの人にとっての価値となる

3、人はだれかを動員する時に、責任を伴う。責任は時に賠償を伴う。

4、評価は人の視野の限界によって、その軸に限界を持つ

5、ネットワークは情報収集力であるとともに、動員の力にもつながる。

さて、この仮説からどのような動態をシミュレーションできるでしょうか。(マルチエージェントでできればいいのですが、力量がないので、脳内シミュレーションでいくつかの仮説的な動態を提示します)以下では、個人が可能な限りネットワークを張りつつ、多様な評価を可能とすることで、「イノベーション」がより個人が自由にふるまうことができるようになるという主張をします。(イノベーションが括弧つきなのは、それが金銭価値になるとは限らないという意味です。また、この中で、イノベーションとは、評価軸の変更とバリュープロセスの変更と考えています。)

メインは、上記論考の5章に基づいて、3つの限界を組み込んだ形で述べます。フレームワークは以下に再掲します。

 

f:id:meshitahiro:20170318094529p:plain

 

http://futureconsiderations.com/2015/01/reinventing-organisations/

 

この図の切り分けは、先の5つの仮説から外部的な条件と人々のマインドの在り方によって、ある程度導出可能です。

 その前に、人がマズローの5段階欲求に大まかには従っていると仮定します。

f:id:meshitahiro:20170318094213p:plain

 

 

http://www.motivation-up.com/motivation/maslow.html

 

 結論としては、自己実現がたの深緑色組織が最も効率が良いのですが、その理由として、以下が該当します。

1、個人が帰属意識を持つため、可能な範囲で全体を見ようとする

2、帰属意識は信頼性につながり、信頼し合っていれば、個人が素直に情報開示するため、必要な情報が吸い上げられやすい

3、ネットワークがあると、その情報が伝播しやすい

4、個人が役割を自覚して動くため、分業の指令を不要とする(逆に個人のスキルセットに依存する)

5、ユニットが小さいため、バリュープロセスの切り替えを行いやすい

6、承認プロセスが減るため、承認者を待つ必要が減る

7、信頼ゆえに、既存の評価がない場合も、主張する個人に時間が与えられる

8、個々人のリテラシーが上がりやすくなるため、良い意思決定を行いやすくなる

それでは、一つずつトレードオフを見ていきます。

 規模の要求と評価の多様性については、すでに論考の中に記載しています。(P28の「以上〜の段落中」)これは、つまり、集約による規模性は評価の多様性を阻害する傾向にあるということです。(権限と予算が委譲されていれば別ですが、それはほとんど別会社と言っても良いものになります。)集約性が評価の多様性を阻害する要因は、動員リスクとそれに伴う動員される側の自主性の阻害と視野の制約によるものです。

 集約性が高まると、一動作の損失が大きくなるため、間違えない意思決定が重要となります。そのため、間違えない意思決定をするために、意思決定を最もよくできる見込みのありそうな人に委ねるようになります。これによって、評価がその人の視野に制限されるとともに、その役割分担から意思決定しない側の人間もその評価軸に沿うようになっていき、評価の多様性が下がります。

 次は、規模とネットワークです。規模とネットワークは相互に強め合うポジティブフィードバック関係を持っています。規模が大きくなると、意思決定者が特定されてくるという問題は全段落の通りです。そのため、情報が一部の人に集中するようになります。それは、その一部の人が提案を受けるため、そこに情報が流れるからです。また、それによって知り合うという関係故に、そのあともお互いにアクセスが可能な状態になります。(逆にこれがあるしゅの複雑さを回避することにもつながっています)情報が集まることで、「より正しい判断」を行えるようになる可能性が高くなっていきます。それ故に、意思決定者と動員される人々の乖離はより広がっていきます。(しかし、この役割分担は、必ずしも間違ってはいません。多くの人が長期的に必要になることを評価できるとは限らないからです。) 一方、個々人がネットワークを広く持ちうる場合には、情報格差が生じにくいため、このような差異も生まれにくく、議論をして意思決定をするというパートナー的関係をお互いが築きやすいです。(そのため、意思決定者と動員される人という対立も減ります)すると、個々人のやる気も出ます。

 最後に評価とネットワークです。これは極めて直接的です。誰につながっているかは、誰に評価されているかと同義だからです。その中で、誰の評価をどの程度気にするかということが、個人の動き方を規定します。(研究者も研究コミュニティーの評価をそれなりに気にしますし)評価の影響力は、評価者の社会的信用力(金銭や地位)に依存します。組織内では、上長やその上の影響力が強いでしょう。これへのカウンターが360度評価です。しかし、すべての人にとって良い行動が必ずしも良いとも限らないのが世の常です。ただ、往々にして近くの人は文脈を一部共有していることが多く、ビジネスにおいては、そればバリュープロセスの一端を占めているので、合理的でもあります。5区分のモデルでは、信頼度が高いほど、上長の評価の影響力が小さくなります。

 以上をまとめると、

1、外的要因としての、資源制約性・社会リスク

2、それらの元で、規模(働きかけと合理性の限界要因)、評価(視野の限界要因)、ネットワーク(働きかけと視野の限界要因)の相互依存関係

3、内的要因としての相互の信頼関係

4、その表れとしての、組織の5段階説

と言うことです。

 次の記事で詳細を述べますが、オレンジ型までの社会の問題は、結局は動員される人のリテラシーが上がらないということに尽きます。これは、社会において、生産力が高度に上がったため、労働者の必要数と価値が下がってしまい、金銭レベルでの余裕が減ってきて、多くの人が期待を持てなくなった結果、尊厳を傷つけられ、怨念が募り、視野狭窄に陥ることで、政府側(共同体側)も投票制故に、意思決定の幅が狭くなってしまったということにあります。これは、グローバル化及び新自由主義思想が根本にあることが原因ではありますが、これに加えてインターネットが情報構造を変えて、「メディアの範囲が国家の範囲」であったことを変えてしまっていることも要因ではあります。(単純に言えば、再配分が機能していないということです。)(実際問題として、再配分問題がない場合、必ずしも深緑型社会が良いとは言えないです)

システム工学から見る生産・安全性・コンポーネントの原理

足立研セミナー:「こうのとり」の制御系安全設計の実際とその後の取り組み - YouTube

 

この記事は、このyoutubeの動画に大きく依存しています。

 この論考の目的は、先の記事にほのめかしていますが「私たちがより自由かつ豊になるにはどうしたらいいのか」ということです。

 この点についてまず着目したいのは、道具です。特に機械は産業革命で私たちの生産力は大きく向上しました。生産力を高め、物質的な供給が満たされていることは、豊かさの一つの条件です。これによって、穀物生産に従事しなければならない人を減らせるので、余剰が生じて、さらに効率的な道具やほかの農産物の生産、サービスの提供が可能になります。

ということで、ここで仮説を一つ置きます。

S仮説1:人は道具によって、生産性を向上させ、余剰時間を手に入れることができる

S系1:さらに工程を切り分け、自動化を行うことでより生産性を向上させた。

 つぎに、人工物の生産ということに着目し、その生産力がどのようにして向上するのかをまず考察します。

 道具は、必ず要素の組み合わせと加工から成立します。桑や鍬は、鉄をある形に成形するとともに、木の棒を取り付けることでできます。少し効率化すれば、手押し車付きの耕作機になります。エンジンまでつけば、トラクターになります。衣類に目を向ければ、はじめは素手で織っていたり、単純な毛皮でした。これが、針と糸でよりきめ細かくかつ頑丈につぎはぎできるようになり、無駄がへりました。動力をつければ、ミシンになります。モーターがつけば電動ミシンになります。電動ミシンになれば、素手の何十倍も衣類を作り上げることができるでしょう。移動についても、はじめは徒歩だけでしたが、馬に乗ることで、移動速度を高めることができるようになりました。さらに、馬が引っ張れる馬車によって、移動人数を増やすことができ、エンジンがつけることで、自動車が誕生しました。自動車の誕生によって、馬よりも安くなったため、多くの人が高度な移動手段を手に入れることができました。

  このように、機械は明らかに人の能力を向上させることに成功しました。この機械をつくる機械も誕生するようになりました。

つまりは、生産力の向上にはさらに以下が伴っていると考えることができます。

S仮説2、より多くの部品が組み合わさって、全体として機能するものを生産する必要がでてきた

S仮説3、全体としてうまく機能するために、より多くの部品の保証を取る必要が必要になった

S仮説4、保証と生産のプロセスを高速に行うため、専門分業が発達した

S仮説2を深堀します。

(より詳細な議論は自分が修士の時に書いた論考をご覧ください。以下では、ここの思考過程をベースに論を展開しますが、これ自体は記事にはしません。また当時の設計論は安全要求の議論を欠いていたので、それを加えて再考します。なお、どのような冗長系をどの程度とればよいのかという点については、対象外とします。システム安全の専門家の方にうかがいたいです。)

設計はまず望む対象が備えるべき機能の要求を行い、機能要求が済んだのち、それを可能な範囲で数値的な要求にします。

数値的な要求が全体として決まれば、その後、それを部分に展開します。この部分一つ一つが要素です。全体を要素分割する行為を構造(アーキテクチャ)設計と呼びます。

このアーキテクチャ設計は、生産にかかる費用、サブ機能の設計の容易さ、最終的な動作の安定性・正常性を取りやすいことなどを加味して分割されます。(安全ではない状態とは、想定外の動作をすることです。)

 設計の生産性が上がるとは、すなわち設計指標が定まり、その数値基準が判明し、要素の組み合わせ方が分かるということです。(なお、設計と製造は実際にはインタラクティブですし、製造の習熟効果や製造自体の高度化で設計の制約条件が変わることがあるので、常に一定ではありませんが、一度製品として完成したものを変えることはないので、これで十分とおもわれます)近年では、シミュレーションの精度も上がり、設計指標が決まればほとんど最適化可能となっています。(あとは形状という連続ゆえに無限である変数ぐらいでしょうか)

 余談ですが、そのため、むしろ機能設計をどのようにするかという点が、価値の源泉になり、重要になってきている場面も多く、このあたりが「デザイン」とか「UI」とか言われています。さらに、最近では「参加性」による消費者巻き込みがたなども出てきており、価値空間上での設計が重要視される傾向があります。(相互関連性は上記論考の図1.8を参照ください)家電や半導体における日本企業の敗北は、機能や価値指標の転換を認知できなかったこととも言われています。(家電は機能をシンプルにしてコストを抑えること。半導体は高性能かつ高品質ではなく、露光工程を自動化してコストを抑えること。半導体については日本「半導体」敗戦に詳細あり)

 つぎに、S仮説3です。実際に設計したものが、どのような想定外でどのように異常モードにはいるかわかりません。そのため、異常モードを起こさないための試験と異常モードを起こさないための、冗長システムが組まれます。この保証はやればやるほどコストが嵩みます。そのため、状況に合わせた必要最低限に抑えることと加えてリコールなど、社会的な制裁によって埋め合わせをします。(このあたりは責任論、保険と絡んできます。)そのため、こちらについては、社会的な価値の方がより反映されます。(中国では、人の命が軽いから、シンチェンでイノベーションが起きやすいなど)安定状態を担保できないことと身体的危険への責任の重みが、ここのコストを決めます。UIやUXは、ユーザーの使用が必要な部分でもあるため、早めに公開したほうがフィードバックを得やすいです。そのため、プロトタイプ論が近年はやっているのでしょう。

 この点についても、日本はモノづくり発想が強く、ソフトウェアも品質にこだわりすぎたため、敗北したともいわれています。(もちろん、プログラミングが英語発送なこともありそうですが)近年のマイクロソフトは最初に無料で配ることで、バグだしをしているともいわれています。もちろん、医薬品などは副作用が身体的影響をきたす場合もあるので、安全性の確保は必須ですし、だからこそ開発コストがかかるのでしょう。

 最後にS仮説4です。これは、人間の情報処理限界によって要請されます。人間の限界は、塩沢先生のものを引用します。これは以下の3つの区分があるといわれています。(別添の論考の思考過程が、人間の特性に対する仮定1とするとこれは仮定の2にあたります)

1、視野の限界

2、合理性(計算速度)の限界

3、働きかけの限界

複雑さの帰結―複雑系経済学試論より)

視野の限界は、人ひとりの知識と興味が世界の全現象に比べれば、局所的ということです。人は昔から、この問題にたいして、必要な情報を分類して対処します。要は、興味の範囲について、特徴量を抽出しています。この部分は検索システムが現代ではやや緩和してくれています。

合理性の限界は、問題を最適化問題として定式化できても、それを解けるとは限らないということです。人は、この部分に対して、ルールと満足水準対処しています。ルールとは、Aの場合はBをすると決めることです。これは、プログラムとしてみることができます。今は、プログラムによってルールを自動化することが可能になり、計算もコンピュータサイエンスの発達で多くの問題が解けるようになりました。満足水準とは、前よりもいいということです。(これは、科学のベイズ主義ともつながります。一方、アブダクションは、組み合わせ最適問題の探索とみることができます。)

働きかけの限界は、問題が解けても、他人に作用させるのに限界があるということです。人は、この部分に対して、上2つを一部の人に託し、他多数を実行部隊とすることで、緩和を行ってきました。この部分は、情報の伝播に限り、検索によって緩和はされました。また、機械・ロボットはこの部分の限界を緩和していると言えます。

さて、これらがゆえに、人は専門分業するとともに、コミュニケーションとり、複雑な問題を組織として解決しています。これらを効率化するには、前提としての教育システムと人事異動体系があります。一組織内では、あまり確立された手法はないというのが、個人的な所感です。なお、専門分化による弊害は、多くの場で指摘されており、専門分化によって、専門外の指標が分からなくなることによって、人事転換の困難さを伴うようになるとともに、コミュニケーション上の支障がでたり、評価の対立が起きたりしています。人事異動はそれ以外の要素でも決まるため、より総合的な判断としてなされているということはできるかもしれません。なお、次の組織論に最も通じる部分ですが、製品として満たすべき指標というのは、あまり変わらないですが、安全性をどの程度重要視するのかなどは各組織によって変わってくる点と思われます。ここには、何を重視するのかという点で幾分政治性が介入します。

 一方で、S仮説4については、経済という視点でみれば、金銭的な交換によって、効率化しているとみることができます。これは今後の論考で明記していきます。

 S仮説3とS仮説4については、データベースおよび検索システムによって、効率化が図られています。これは、こういった知識がほとんど文書によってやり取りされるからです。S仮説3については、数値基準できまるものは、国が規制をデータべース化すれば、ソフトウェアで対処可能になり、最適設計がより円滑になることでしょう。

 以上をまとめます。

人は、道具によって生産力を高めていきましたが、また工程を一部自動化することでさらに生産力を向上させました。一方でこれらは、高度な設計(物自体のみならずプロセスも含めて)を必要するようになりました。高度に設計されたシステムを安定的に異常を回避しながら運用するために、設計時点での安全性検証を要素毎に行う(安全性担保のために統計などが使用されます)とともに、システムとして動作することを担保するように、冗長系を取るようになりました。これとともに、専門分化をすることで、より生産力を向上させました。

 つまり、「生産力を向上させる」とは、

P1、安定動作する複雑なシステムをくみ上げる能力

P2、1を可能な限り自動化し、少ない人数で実現すること

P3、1を可能な限り短期間で行う

ということです。

そして、経済における人の駆動という点においては、

E1、複雑なシステムの構築は人数と期間を増加させる

E2、人間の数が同じであれば、システム構築に人でがかかることは、その他供給を抑止する

社会的な対処として、

O1,組織を形成する

O2,専門分業を行う

O3,ルールを制定する

 といえます。

最後に余談ですが、設計指標とそのパラメータを設定するという。「特徴抽出」の行為について、現在は人間しかできませんが、機械学習の進歩がこれらを可能にするのではないかという議論があり、これが「人工知能が人間を凌駕する」という議論の根幹ですが、今のところ、物理法則の特徴を自動で抽出したという研究成果はなさそうです。しかし、そこまで可能であれば、より効率化していくことでしょう。